 去る、11月6、7、8日の3日間、パリ19区区役所ホールで「第4回日本文化フェスティバル」が開催されました。毎年恒例となりましたこの企画、今年は “邦楽の現代と古典” をテーマに、2種類のコンサートが開かれました。
1日目と2日目は 【未来の古典・同時代の邦楽】 と題して、国際作曲賞優勝経験を持つ6人の若手日本人現代音楽作曲家によるコンサートが行なわれました。これは箏と三味線の委嘱曲のみで構成されており、音楽家日原史絵さんのソロ演奏をじっくりと堪能するものでした。このコンサートは8月から12月まで、日本で3ヶ所、4公演後、パリで2日間、その後オランダ、ドイツと巡るワールドツアー公演の一環でした。古典邦楽の紹介だけでなく、現代において、箏の楽器としてのパフォーマンスを最大限に活かした音楽創作に対して、若き才能達が火花を散らし、ぶつかりあう公演でもありました。
箏を2つ並べ、両手での演奏や弓を使った演奏など、従来の箏の使い方を一切用いない三留丈樹氏の【F.Libla Etude】、同じ曲が箏の調絃を変えることで、全く違う曲に変化し、曲間には芝居仕立ての部分も盛り込まれた清道洋一氏の【La saku a luka!】、録音に盛り込まれた箏の音と、実際の箏の音が混在しハイスピードで絡み合う木山光氏の【Scape Goat 2009】、1つ1つの音が連なり、ゆったりとした空間を作りなす武田モトキ氏の【fur schlaflose Nächte】、3種類の三味線が次々に登場し、聴衆を三味に巻き、ユニークな発想で想像力を駆りたてられる山本和智氏の【3棹の三絃のためのShami】、箏の持つ音の不思議さを多用し、聴衆を異次元に誘導、声と音が織り成す独自の世界、清水一徹氏の【Visio/生ける光の影】
箏と三味線に触れるのも初めての方が多くいらっしゃいましたが、斬新でエネルギッシュな作品の数々に新鮮な驚きを持って聞き入っていました。邦楽(=日本の伝統音楽)という枠を超えて、現代音楽としての感動を伝えてくれました。
日本からも2人の作曲家、清水一徹氏、山本和智氏が駆けつけ、挨拶を行ない、応援してくれました。

3日目は 【鼓・今井尋也+箏・日原史絵コンサート】 箏と鼓、互いに日本の伝統楽器でありながら、共演の機会は極めて稀という貴重な機会で、古典作品と現代的なオリジナル創作作品をお楽しみ頂きました。
前半はそれぞれのソロで古典曲の演奏と、箏と鼓の新しい合奏様式による古典曲合奏、日本の出雲神話を基にした創作ドラマ 【伊豆出雲境目風土記】を、日本語の台詞と音楽を混ぜたスペクタクルに、日本語は全く分からないはずのフランス人のお客様ものめり込んで聞き入りました。
後半は、日本とフランスの歌のアレンジで【荒城の月】【うさぎうさぎ】【la vie en rose】【エリック・サティのアーモンドチョコレートのワルツ】の4曲をお楽しみ頂きました。前半の緊張感とは違い、フランス語での寸劇も入り、会場も笑いで包まれました。その後、今回が初演となった【d’Hérodiode−Mystére du Japon】フランスの詩人ステファン・マラルメの詩をヒントに、フランス語と日本語を交えた現代口語の語りから、能楽の【巴】から発想を得た謡や古典様式をリンクさせ、歌や器楽演奏をも交えた全く新しい音と芝居の世界を表現した大作となりました。はじめて触れる音世界と、フランス語と日本語が織り成す音世界に、日本とフランス、古典と現代を超越した生き生きした時間を楽しんで頂けたようで、静まり返った会場からは盛大な拍手とブラヴォーの声も上がりました。
お客様方からも、たくさんの絶賛の声を頂き、古典から現代まで、活き活きとした邦楽の姿をお届けできたものと思い、大変意義のある企画であったと思います。日仏文化交流の一端を担うべく、活動を続けて参ります。今度共、皆さまのご協力を宜しくお願い致します。
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